Short Trip to Nikko (3) ──西六番荘


西六番──かつて、トーマス・ブレイク・グラバーが別荘を構えた中禅寺湖畔大崎のその場所を、後にハンス・ハンター(範多範三郎)が引き受け、新たな別荘を建てました。その別荘はかの有名な「東京ロッド・エンド・カンツリー倶楽部」のクラブハウスとして機能しましたが、開戦前の昭和15年に焼失。わずかにコンクリート製の暖炉や煙突のみが残りました。
現在の大崎は、観光地特有の俗っぽさが抜けきらない微妙な場所に位置し、焼け残った煙突と暖炉になど興味を持つ人間は極めて少ないと思われます。しかし、ハンス・ハンターが西六番に建てた別荘を設計したのが、下で紹介したアントニン・レーモンドであることを知る我々フライフィッシャーマンは*1、静かに逸る気持ちを抑えることができません。

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*1:福田和美『日光鱒釣紳士物語』1999年、山と渓谷社、pp.164-167