引きこもり日記
先週末はずっと家に引きこもってWOWOWで映画ばかり見てました。土曜日はデンゼル・ワシントン特集がやっていて、『ジョンQ―最後の決断―』(ニック・カサヴェテス監督)、『ラストゲーム』(スパイク・リー監督)、『フライト』(ロバート・ゼメキス監督)の3作品を鑑賞。
『ジョンQ』はハリウッド映画的な過剰な演出はなく、単純なストーリーと演技で緊張を極限まで高め、グイグイ見させるタイプの作品。監督のニック・カサヴェテスはジョン・カサヴェテスとジーナ・ローランズの息子というからそれも納得です。
『ラストゲーム』では、ニューヨークのアップタウンを舞台に、黒人を中心としたニューヨークの日常をリアルに描いた作品。特にコニーアイランドの遊園地が印象的でした。今まで見たことのないような役柄を演じるDワシントンが見ものです。
『フライト』はその日僕が見た3作品の中ではもっともゴージャスな映画でしたが、それでもいわゆるハリウッド映画とは異なる陰りというか濁りが奇妙な居心地の悪さを感じさせる作品でした。アルコール・薬物依存といったアメリカのダークサイドを赤裸々に描いていますが、その企図はいまいち判然としない気がしました。『バック・トゥー・ザ・フューチャー』『フォレスト・ガンプ』や『コンタクト』と同じ監督の作品とはとても思えませんでした。
日曜日もたくさん見ました。最初は『青の炎』(蜷川幸雄監督、二宮和也ほか出演)。秋吉久美子が美しかった…。続いて『プラチナデータ』(二宮和也、豊川悦司ほか出演)。連続ドラマ『ごちそうさん』の杏に見慣れていたので、目の周りを隈どった大人の杏にちょっとどっきり。その次が『ボルケーノ』(トミー・リー・ジョーンズ主演)。土曜日に見た『ジョンQ』にも出演していたアン・ヘッシュがこちらにも出演。この女優さん、中性的で知的な雰囲気が素敵で大好きになりました。ほかの出演作も見てみたいもんです。ちなみに僕と同い年だそうで。
次が『スピード』。キアヌ・リーブス、サンドラ・ブロックにデニス・ホッパー!という異色?の顔合わせ。いわゆるノンストップ・アクション映画。
次が『危険なメソッド』(デヴィッド・クローネンバーグ監督)。ジークムント・フロイト、カール・グスタフ・ユングという20世紀の精神分析学の立役者を題材とした作品。ユングの患者であり、愛人でもあったザビーナ・シュピールラインとの関係、そしてフロイトとユングの対立を軸に物語は進みます。フロイト×ユングの対立は僕もぼんやり知っているような話でありストーリーそのものはそれほど起伏があるものではありませんが、コスチューム・プレイ(衣装劇)としては見事でした。マイケル・ファスベンダー(以前当ダイアリで取り上げた『シェイム』の主役)演じるユング、ヴィゴ・モーテンセン演じるフロイトとも極めて自然で、20世紀初頭の知的舞台を見事に再現しているように見えます。キーラ・ナイトレイの迫真の狂気の演技やエロティックな場面も見どころです。余談ですが、高原の湖畔のサナトリウム的な場面を見ていると、ニーチェを思い起こさずにはいられません。実際、ニーチェとユングはバーゼル大学つながりもありますし……。ストーリーに起伏は乏しいですが、この映画ではいくつかの対立が描かれています。科学×オカルト、アーリア人×ユダヤ人。この映画を見ていたら、きっとクローネンバーグユダヤ人なんだろうと思って、見終わったあと調べてみたらやはりユダヤ人でした。クローネンバーグ監督とヴィゴ・モーテンセン出演の『イースタン・プロミス』という映画もあるそうです。ぜひ見てみたいものです。
最後は『逃走車』という短めのカー・アクション。全編が車内に設置されたキャメラから撮影されているそうです。
映画って本当に素晴らしいですね。