仁義なき世界


そもそも家なんか買えなかった人たちに、甘言を弄し金を貸し、家を買わせた人たちがいました。その人たちは無理矢理貸したお金の額を基準に評価され、庶民感覚からかけ離れた法外な報酬を得ていました。鼻先にニンジンをぶら下げられただけの哀れな存在であるにも関わらず、自分は選良だと錯覚して……。彼らが弄した甘言は上品に言うと 高度な金融商品 となったりもします。さらに悪質なのは、そもそも買えなかったはずの家を過剰に評価し、それを担保にジャブジャブ金を貸し込みました。そのアブク銭で車は飛ぶように売れ、極東の島国の自動車メーカーはわが世の春を謳歌しました。
この業界の人たちは 決済機能 とか 流動性を高める とか、そんなスローガンを錦の御旗に自分たちの存在価値を主張しますが、たとえば最近のガソリン価格の高騰ひとつとっても、むしろ強欲な金融業者の存在は経済の流動性を低めているとしか言えないような気がします(もちろん商品価格の高騰なんかも然り)。システムが悪かった……、口々に選良たちはつぶやきます。私は、あなたたちは悪くなかったのですか?と問いたいです。公共の利益って言葉を知ってますか?と問いたいです。
友人が言っていました。ガソリンを買った人は、その人の家に買った分だけのガソリンを届けるべきです、と。先物だか、ある金額で買い取る権利だか、そんなまどろっこしいことは抜きにして、買ったものはその人の手元に届けるべきです。株券とか札束とかを……。なんでそんな無駄なことをするんだって?って、そりゃあんた達が 信用できない からでしょ。

*  *  *
ところで、国営企業を民営化し無駄を排します、と高らかに宣言し、圧倒的な議席を獲得した政権与党の党首が、実は私は民営化には反対でした、と公言するのを耳にし、言葉を失うほかありません。そのとき民営化に反対して除名された議員が復党しているのも醜悪としか言いようがありませんが、いやいや実は私は反対でしたって、そういうのを 後出しジャンケン って言うの知ってます?