たまらん坂は静かな悲しみに満ち満ちていました

たまらん坂へ行ってみました。坂の手前からすでに線香の臭いが漂っていて、それだけで目頭が熱くなるのですが、坂下の「たまらん坂」という標識のもとにはたくさんの花や供物が供えられていて、そのデタラメさがあまりに完璧なんでさらに泣けてきます。どこからともなく集まった人々が坂の下から上までチラホラいます。その数も人々の振る舞いもすべてが自然で自発的です。誰に強要されたわけでもなく、誰にそそのかされたわけでもなく、いてもたってもいられなくて……、という雰囲気がひしひしと伝わってきます。ある人はうずくまり顔を両手で覆い、ある人は友人とビール片手に静かに語らい、ある人は静かにギターを奏で歌を歌っていました。帰り道は大通りを避け、住宅街のなかをブラブラと歩いてきました。