Yo La Tengo, Tony Orlando, Frankie Valli, Pet Shop Boys......

最近、中古CD屋で買った Yo La TengoAnd Then Nothing Turned Itself Inside-Out [輸入盤CD] (OLE3712) がほんとうに素晴らしくて毎日聞き込んでいます。中でもお気に入りの一曲が4曲目の“Let's save Tony Orlando's House”という曲。Georgia Hubley の歌声はみずみずしくて甘酸っぱくて胸を深くえぐられます。見た目はただのおばちゃん(失礼!)ですが、VUのNICO直系の素晴らしい歌唱です。そして詩も素晴らしい! 

"We proudly welcome Tony Orlando" / The State Fair marquee reads / Inside. a thousand people with yellow ribbons / Sing and clap on, one, two, three
Watch him move / He's dropping to his knees / Watch him move / The medley hits from "Grease" / Watch him cry / He never fails to please
Meanwhile, in Tajo / Outside Gustatore / With rags in gasoline / A jealous Frankie Valli says / "Don, I want you back" / Lights a match and counts to three
Watch it burn / Reluctantly, he leaves / Watch it burn / Acrid smoke making him wheeze / Watch it burn / Plum and cherry suits the scene
We sorry to inform you / Tony Orlando has been postponed

ちなみにアーティストは詩を公にすることを望んでないようで、上記の詩も日本版にのみ特別に付された聞き取りした内容なので誤りがいくつかは紛れ込んでいる可能性があります。いずれにせよ意味が分かるような分からないような微妙に素敵な歌詞です。

さて、Tony Orlando とは何者なのでしょう? ググってみると「幸せの黄色いリボン(原題:Tie A Yellow Ribbon Round The Ole Oak Tree)」で有名な Tony Orlando & Dawn であることが分かります。詩でも“a thousand people with yellow ribbons”と歌われているので間違いないでしょう。
また、もうひとつの固有名である Fankie Valli をググってみると「君の瞳に恋している(原題:Can't Take My Eyes Off of You)」で有名なフォー・シーズンズフランキー・ヴァリのことであるのが分かります(下の動画は Andy Williams のヴァージョン)

この日本語版の解説で大鷹俊一氏は次のように書いています。

自分たちが育った70年代の光景を、ノスタルジーではなく、また無意味な美化でもなく一つの時代としてすくい取ることで Yo La Tengo の世界が限りない透明感と存在感を増していく。ここにいたってこのアルバム全体が彼らにしかできない“アメリカン・グラフティ”なのかもしれないという思いがしてくる。


まさにその通りでしょう。ところで「君の瞳に恋している」は Pet Shop Boys がかなりでたらめな感じでカバーしてましてU2のヒット曲とメドレーになっている!)、なんだかポピュラー音楽史の奥深さを垣間見る思いがします。