Pullman

Pullmanとは寝台列車の意味らしい。メンバーはChris Brokaw, Bundy K. Brown, Curtis Harvey, Doug McCombs。2枚目のViewFinderにはTim Barnesという人がドラムスとして加わっている。Bundy K. Brownは以前、「歌のない音楽」コーナーで紹介したTortoiseのかつてのメンバーであり、シカゴの音楽シーンを語る上では外せない人物。またDoug McCombsはやはり同コーナーで紹介したBrokebackというバンドをやっている。
Chris, Bundy, Curtisの3人が基本的にナイロンガットのアコースティック・ギターをフィンガー・ピッキングでボロボロ奏でる。Doug McCombsはベース担当。前述の通り2枚目にはTim Barnesがドラムスとして加わっている。要するにアコースティックな音で、アメリカのルーツ音楽を演奏しているわけだ。
いわゆる、アンプラグドなんていうコンセプトとはちょっと違う。あれは「たまにはアコースティックもいいじゃん」みたいなもんだから。また、自堕落にアメリカのルーツ音楽を礼賛しているわけでもない。昔、Van Dyke ParksDiscover Americaという作品があったが、Pullmanの音楽もまさにアメリカを再発見していると言えるのではないだろうか。そういった意味ではRy Cooderあたりと比すべきかもしれない。
1作目のTurnstyles and Junkpilesは基本的にマイクを2本だけ立てて一発録りされている。2作目のView Finderはドラムスが加わり、音楽としての幅は広がった。1作目にあったような開放感はやや損なわれた気がしないでもない。
倍音をたっぷり含んだアコースティック・ギターのアンサンブルにじっと耳を傾けていると、ちょっとトリップするかも。

天国の口、終わりの楽園。

天国の口、終りの楽園。 [DVD]
今日、ムービープラス『天国の口、終わりの楽園。』が放映されていた。劇場公開時も映画館で見たのだが、あらためて見てもやっぱり面白かった。
★★★以下、あらすじを紹介します。ご注意下さい★★★
テーマはずばり、歳を重ねることで失うもの、なのではないだろうか。ヒロインはガンに犯された美しい人妻(この事実は最後の最後で明らかになる)。そして、○ンコでしかものを考えないような二人の青年が、ひょんなコトから出会い、3人で「天国の口」と呼ばれる幻のビーチを目指すロードムービー(道中やりまくり)。若くして死んでしまう美しい人妻と、生き延びて世俗に染まっていく二人の若者達、どちらか幸せなのだろうか、というワケだ。言葉にするとえらく陳腐なのだが、突き詰めて考えると胸が締め付けられるような思いがする題材をひどく単純なストーリーで見事に描き出している。
舞台はメキシコ。アメリカに対するメキシコのある種のスタンスというのがよく分かる。また、「天国の口」への道中で主人公達が出会う土俗的なメキシコはとても魅力的だ。もはやかつての友情が完全に失われた二人の青年が再会する最後のシーンでは、71年ぶりに大統領選挙がナンチャラカンチャラというナレーションが流れる。メキシコの現代史を知っていれば、またいろいろな見方ができるのだろう。オススメです。