美術館建築展@葉山

kechida2004-12-19

葉山の近代美術館で美術館建築展を見てきた。
一納税者として無駄なハコモノに無駄に税金が使われることには反対したいが、一方、コスト優先で建てられたなんの魅力もない建築物も困ったものだと思う。一度、建ってしまった建物を気に入らないからといってすぐに壊すわけにはいかないのだから、何も考えずに醜悪な建物をつくるのことにも反対したい。醜悪なコンクリートのハコを何年も見続けなければならない苦痛というモノも存在すると思う。
美術館ってのはいろんな役割を担っているけど、本展でもテーマのひとつとして取り上げられている通りランドマークとしての役割は重要だと思う。その成功例のひとつが、本展出品のフランク・O・ゲイリーのビルバオのグッゲンハイム美術館。建築として趣味が良いのか悪いのか評価が分かれるところだろうが*1、ランドマークとして十分に機能していることは間違いなく、その結果コミュニティ(地域社会)が活性化にも寄与している*2。いずれにせよ、美術館に限らず建築物ってのは100年、200年というスパンで評価されるべきなのではないだろうか。
安藤忠雄フォートワース現代美術館というのを見てみたいと思った。日本で見られる安藤建築とは何かが違いそうだ。海外の施主の場合、日本的な納得の仕組みとは違うメカニズムが働いているのではないだろうか。また、テート・モダンやベルリンの博物館島の再編成というのも興味深い。フランスのルーヴル美術館もそうだが、ヨーロッパでは歴史的な建築物をどう再生するかということに真剣に取り組んでいるように思われる。日本も学ぶべき点は多いのではないだろうか。
この展覧会は、今日で終わりだが、この展覧会にあわせ『世界の美術館―未来への架け橋』という本が出版されている。

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美術館から御用邸方面に向かって左側にある「一色」という手打ち蕎麦屋で昼食を食った。手打ち蕎麦屋というとツユは甘さ控えめでキリッとしているもんだって考えがちだけど、このツユはいい感じで甘く、クセのない食べやすい蕎麦とあいまって、超おいしかった。

*1:といっても僕は現場で実物を見たことはないけど……。

*2:ただし、それがハコの魅力だけによるもだとも思わない。