踊る息子 その3
ラップは大学時代に少しだけ聴きかじっただけなのだが、De La Soulの3 Feet High and Risingは大好きで、今でもよく聴いている。今となってはラップというと強面のギャングスタみたいのばかりになってしまい、あまり共感を持つことができないが*1。De La Soulはその点ヘナチョコさがズバ抜けていて、アフロアメリカンとはある種の切実さをけっして共有することができない東洋の島国に暮らす僕も妙に共感を覚えた。髪型なんかもヘナチョコだし(ニュークリア・カットとか言うそうだ)、歌声(ラップでもそう言うのか?)もヘナチョコ、歌詞もヘナチョコ(「鏡よ鏡よ鏡さん」なんて歌詞もある)。また、元ネタの選択が素晴らしい(特に3 Feet 〜)。スティーリィ・ダン、ホール・アンド・オーツ、アニマルズ、スライ・ストーン……、僕には分からないだけで他にも色々なネタが仕込まれているハズ(フランス語会話の教材レコードを使った曲もある!)。そして、M20の“Me Myself and I”で使われているのが、冒頭に書いたFunkadelicの“Knee Deep”なのである。当時、僕はこの原曲を知らなかったけど、De La Soulのおかげでどうしても聴きたくなって色々調べてたどり着いた。De La Soulは本作発表後、著作権を侵害したとされ、そうとうヤラれたらしいが(そのせいで次作の題がDe La Soul Is Deadになったとも言う)、僕は本作のお陰でネタ元の各曲は売上が増えたのではないかと信じたい。
ところで、前々回のエントリで触れた、P-Funk Earth Tourの“P.Funk (Wants to Get Funked up) ”だが、Shelly Thunderという女性ラッパというかレゲエのシンガがFresh Out of the PacというアルバムのM9“No Future in Frontin'”という曲でネタにしている。この曲はKRS-1がプロデュースを手がけているのだが、それはともかく、元ネタの禍々しさをうまく活かした名曲。もはや、Amazon.comでしか見つけることができなかった。