帰りの電車でサライを読んだ

まずは邪推。釣りの写真についてはバス釣り関係の写真はまったくなし。開高健的にはバスはイマイチな結果に終わり続けたので、そのためなのかもしれないが、一方で同社の『ビーパル』誌のバスに対するスタンスを想起したりもする。しかし、同じ出版社とはいえ、各編集部の横の連帯はあまりない可能性もあるので、やっぱり単なる邪推かもしれない。記事を読むと、39頁には「灼熱の米国中西部のミード湖でバス釣りに挑んだときは、冷水が湖に流れ込み、連日釣果なし」とある。「バス」と出てくるのはここだけ(だと思う)。89頁の写真はキャプションに「ミード湖」とあるのでバス釣りに行ったときのものだろう。
38頁冒頭の「開高が釣り求める魚は、概して大物、それも1mを超えるような大魚が多かった」という一文は、釣り人的には違和感を感じた。
よく分からなかったのが、112頁のジッポライタのキャプション。以下のように書いてある。

ベトナムで購入したジッポ。弾丸よけの呪文や警句が彫り込んである。左のジッポには開高が死地を脱出した日付を彫り入れた。

掲載された写真から彫られた文字が読めるので、以下に書き写してみる(全角の「/」は改行を表す)。

(左のライタの蓋部分)1/17/D-ZONE/FEB. 14. 1965
(左のライタの本体)YEA THOUGH I WALK THROUGH THE VALLEY OF THE SHADOW OF DEATH I WILL FEAR NO EVIL. FOR I AM THE EVILEST SON OF A BITCH IN THE VALLEY
(右のライタの蓋部分)MEMENTO MORI/VIETNAM
(右のライタの本体)1964−1965/1968/1973

「左のジッポには開高が死地を脱出した日付」というのは同誌の30−31頁の記述と矛盾していない。が、「弾丸よけの呪文や警句」という記述がよく分からない。左のライタの本体の書き込みは、僕には文学作品などからの引用文のように見えるが、原典が何なのかはよく分からない。「呪文や警句」と言うべきものなのだろうか? 右のライタの蓋部分に彫り込まれた「MEMENTO MORI」は「死すべき運命を想え」とか、そんな意味を示すラテン語(だったかなぁ)のはず。「呪文や警句」と言えるかもしれないけど、あまり意味がある説明だとは思えない。ま、雑誌なんてそんなもんなのかなぁ、とも思った、などと言ってみるテスト。
◇写真は会社の近くの中華屋のランチ。半タンメンと半チャーハンとかそんな感じのメニュー。開高健はこの店のワンタンを好んでいたようだ。