SELDOM ILLEGAL──時には、違法

kechida2007-06-04

誰もいない谷を奥へ奥へと一歩ずつ遡行していくとき、オレは人の道を外れてしまっているのではないか、と思うことがあります。あるいは、早朝、まだ真っ暗な池のほとりに車をとめ、浮き輪を膨らませ、鏡のような水面に浮き輪を浮かべて漕ぎ出すとき、後ろめたさのようなものがチクッと胸を刺します。夜、漆黒の海、そこが遠浅の干潟であり、これからどんどん退潮してくのは分かっているけど、ザバザバと立ちこむ瞬間、恐怖と甘美さが入り混じったようなくすぐったい感覚に襲われます。
本質的に、釣りにはこういった後ろ暗さがつきまとうものだと思ってます。逆にそれがない釣りは面白くありません、少なくとも私にとっては。別に、不法行為をしているわけではないのですが、私の釣りには「時には、違法」感が必要なのです。たぶん、分かってくれる人は分かってくれるのではないかと思います。別に悪いことをやっているワケではないけど、褒められたことをやっているワケでもありません。(時には)犯罪者たちは、堅気の人々に不要な不信感を与えないため、彼らにしか分からない言葉を話します。堅気に盗み聞きされて、サツにチクられたら面倒くさいだけですから。アジトを堅気に漏らすことは決してありません。そんなことしたら、干されるか、消されるか……、あぁ恐ろしい。
という妄言は坂本龍一の著書(絶版)『Seldom‐illegal―時には、違法』から拝借しました。