Fistful of Dallars



なぁんてカッコいいのでしょう。この頃のレオーネ=イーストウッドは、極力余分なものをそぎ落とし、映像と音楽でしか表現できないやり方で、観客の期待と興奮を最大に引き出す術を心得ていたように思えます。当時、映画を見終え映画館から立ち去る観客たちは、きっと口笛を吹き鳴らし、本当に肩で風を切っていたに違いありません。
右の『ダーティーハリー』は、キャラハン刑事のコーヒーカップに注がれ続ける砂糖が、息の詰まるようなサスペンスを演出します。着想は単純なのですが、例えば同じシーンを文章で表現しても、これほどの緊迫感を引き出すことはできないでしょう。キャラハン刑事は最後にあの有名なセリフを口にします。