仮面ライダー電王

kechida2008-12-20

むかーしは、あまり子どもに俗悪なTVプログラムは見せないようにしよう!なんて意気込んでいましたが、まぁ、一度見せれば子どもは首ったけ。保育園での子ども同士の付き合いなんかもあって、親の願望・妄想ばかり押しつけられるのも、それはそれでアレなのかなぁと思ったり。しかも、親である私も元来が俗悪な人間なので、けっこう楽しく見ていたりします。ただし、現在放映中の「仮面ライダーキバ」はちょっと難しいというか、ハズしている気がします。面白いのは昨年放映されていた「仮面ライダー電王」。

*   *   *
敵は「イマジン」と言われます。イマジンは人間に取り憑き契約し、その人の願望を叶えます。ただし、願望を叶えた結果、バーターにイマジンは取り憑いた人間が執着する過去の一時点へタイムトラベルし、その過去をメチャクチャにし、現在そして未来を狂わせようと目論みます。われらが主人公・野上良太郎もイマジンに取り憑かれた人間でした。しかし、彼は普通の人間とは違った資質を持つ 特異点 であり、イマジンに完全に支配されることなく、野上良太郎本来の人格とイマジンが「野上良太郎」の中で同居します。時空間を自由に移動する電ライナーに乗り時間の運行を守り、イマジンと戦ってきたハナは野上良太郎の資質に気付き、「変身」するよう迫り、野上良太郎は見事に「仮面ライダー」に変身します。
その後もイマジンは野上良太郎に取り憑こうとしますが、完全に野上良太郎を支配するには至らず、結果として何体ものイマジンが野上良太郎と同居するようになります。それらは四大イマジン、すなわち、モモタロス、ウラタロス、キンタロスリュウタロスと呼ばれます。モモタロスは桃太郎、ウラタロスは浦島太郎、キンタロスは金太郎に由来し、野上良太郎の貧困な想像力が産んだ仮初めの姿だとされていますリュウタロスだけはその由来がよく分からない)。どのイマジンが野上良太郎を支配しているかで、仮面ライダーとしての姿(=フォーム)も変わります。すなわち、モモタロスの時はソード・フォーム、ウラタロスのときはロッド・フォーム、キンタロスはアックス・フォーム、リュウタロスはガン・フォームとなります。これらがすべて混ざるとクライマックス・フォームになります。
以上グダグダ書いてきたとおり仮面ライダー電王の物語世界を支えるのはふたつの軸です。すなわち、第一は タイム・パラドックス です。これはSFの古典的なテーマであり、「時間旅行により過去を改変し、その結果現在と未来が影響を受けること」がもたらす矛盾に集約されます(ex. 若き日の父と母の出合いを妨害した結果、息子である自分が現在に存在できなくなる、など……)。もうひとつの軸は 多重人格 です。前述の通り野上良太郎には何体ものイマジンが取り憑き、その結果として野上良太郎の人格も仮面ライダーとしての形態(フォーム)もめまぐるしく変わります。多重人格は比較的最近発見され、特にサイコホラーと言われる分野で重要視されるテーマです。この新旧のふたつのテーマを軸として「電王」の物語世界は形成されます。
「電王」のもうひとつの魅力はキャラの立ち具合です。どのキャラもいい味を醸し出しています。スケベな中年オヤジの多くは ハナ ナオミ にクラクラしているに違いありません。まぁ、どうでもいい話です。