マーク・リボーと偽キューバ楽団 (Marc Ribot Y Los Cubanos Postizos)

これもまた、前のエントリと同じ近所の飲み屋で聴いた曲。ちなみにこの店の店主の音楽の趣味はまったく素晴らしく、ただただ感服するばかりです。最近の流行はクンビアとアルゼンチン音響派みたいです。
閑話休題。マーク・リボーというとアート・リンゼイジョン・ゾーン、トム・ウエイツなんかと一緒に活動していたギタリストというイメージが強く、インプロヴァイズド・ミュージックのギタリストという側面しか知りませんでした。
しかし、何でしょう? この偽キューバ楽団の素晴らしさは! 私は偽キューバ楽団名義で発表されたアルバムを2枚所有しています。アルセニオ・ロドリゲスのカバーが多く含まれています。陳腐な言い方しかできませんが、原曲の良さを最大限に生かしつつ、マーク・リボーにしかできないようなカバー曲ばかりです。「偽キューバ楽団」というのは、照れ隠しの謙遜であるようです。あるいは「偽」であることを逆手に積極的に原曲を読み替えているようにも見えます。
椅子に座り、打楽器のリズムに身を委ね、ギターを奏でる奏者を捉えただけの画像であるにも関わらず、そこには間違いなくリアルな何かが記録されています。ドラムソロの際に見せるドラマーの笑顔は本当の笑顔です。あんな風に思わずこぼれてしまう笑みを捉えたというだけでも貴重な映像だと言えるでしょう。
そしてもう一つのクライマックスは暴れまくったドラムソロから戻る瞬間です。数多くの即興音楽のセッションに参加してきたマーク・リボーだからこそ分かる最高に気持ちいい瞬間です。観客の喝采がそれを支持しています。
キューバ・リブレを飲みながら聴くべし! キューバに自由を!!