Jaco Pastorius

Jaco Pastorius
従属的とか、縁の下の力持ちといった表現が正しいとはけっして思いませんが、バンド構成においてはリズム隊とも言われるベースとドラムが主導的な立場になることは稀です。しかし、Jaco Pastorius は紛れもない根っからのベーシストでありながら、その天才的な演奏は人々の記憶に消えることのない強烈な印象を残し、多くの人が今もJaco Pastorius を愛し続けています。ジャコパスはエレクトリック・ベースという楽器の可能性を最大限に広げました。演奏が正確無比であることは言うまでもありませんが、その発想の自由さ、着眼点の鋭さは革命的・革新的・創造的としか言いようのないひらめきを感じます。
力強い肖像写真(実際のジャケット写真はもっと陰影に富んだ濃い写真です)と、美しい書体(Bodoni Bold?)で「JACO PASTORIUS」とだけ書かれたジャケットが印象的な1976年の Jaco Pastorius は大好きです。非業の死と言えるその最期は運命の残酷さ、人生の苛烈さを人々に思い知らせるものですが、こんな素晴らしい演奏を残し、今も人々に愛され続けているのはミュージシャン冥利に尽きると思います。Ecce homo.