I Want Your Love


以前に紹介した映画『シェイム』の中で使われている曲です。この映画の主人公ブランドン・サリヴァンはレコードのコレクターらしく、部屋には大量のレコードを所有していて、この曲もかかります。常軌を逸した放埒な、しかしとてつもなく空虚な生活を送る主人公がこの曲を好む、というのはなんだか泣けるエピソードに思えます(その他、例えばゴールドベルク変奏曲を聴きながら、インターネットでポルノを鑑賞していたりします)。
聴けば分かる通り、この曲ではすべてが抑制されています。朗々と絶唱されることもなければ、踊りは控えめで、歌い手は感情を表に出しません。すなわち、汗をかかないファンク=ダンス・ミュージックと言えるかもしれません。レコードだったらB面の一曲目になるのでしょう。針を落とした瞬間、甘ったるい感傷なのか、静かな熱狂なのか分からないけど、しばし我を忘れることができるというのは素晴らしいことではないでしょうか?