可能でありえたかもしれない世界

パラレル・ワールド=平行世界というのはSFファンにはお馴染みの題材。基本は、人生において直面する選択肢の数だけ、さまざまな世界がある、みたいな考え。これと似たジャンルに偽史モノがある。歴史に「れば・たら」は禁物だというが、その「ありえたかもしれない世界」を描くわけだ。

村上龍『5分後の世界』という小説があって、まさにパラレル・ワールド(厳密には5分後の世界偽史を描いている。すなわち、主人公はあるとき、目眩を起こすかなんかして時空の歪みのようなものに囚われ、「5分後の世界」に紛れ込んでしまう。この世界では、広島・長崎に原爆が投下された後も、日本軍は降伏することなく戦い続け、新潟、小倉、舞鶴へさらに原爆が投下されるにいたり日本軍は壊滅し、アメリカ、ソ連(ロシア)、イギリス、中国などに分割統治される。しかし、文字通りの国家存亡の危機に際し、南方戦線から帰国した一部の軍人は長野に建設された地下都市に潜伏して日本の再興を志し、占領軍に対しゲリラ戦を展開する。
この地下ゲリラ国家である日本は「アンダーグラウンド」とも呼ばれ、キューバ革命に際し、フィデル・カストロ将軍より要請を受け、精鋭ゲリラ兵士を派遣して革命軍を助けもし、ソ連の崩壊に伴う冷戦の終結に際しコマンダー・ヤマグチは「冷戦の終結は新しい支配のはじまりに過ぎないとわたし達は判断した、日本国は少数の先進国の正義なき支配に対し戦いを続行する」とのコメントを出し、アンダーグランドの視察に訪れたアルベルト・アインシュタインをして「いかなる意味の差別もない国」と言わしめる。
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などと、ワケの分からない日記を書いたのは Masahiro さんの、バスバグロッド・プロジェクトの経過報告を読んだため。いやー、いい企画だなー、ほんと。