楽しく生きる

「今年は、アオリが調子いいらしいね」と友達がとあるHPを教えてくれた。URLをプチっとクリックすると……、アレッ、アレェ〜、なんだ○○さんじゃない! ナント前の会社の先輩だった。会社勤めをやめ、内房に引っ越していたことは知っていたけど、相変わらずご活躍の模様。というより、父親として、男として、一人の人間として激しく嫉妬した。
この先輩、世界を放浪したり、ログハウス・ビルダーを経験したりと本当にワイルドな人だった。寡黙なんだけど、体中にバイタリティと意志がみなぎっていた。くだらない比喩を使うならめちゃめちゃしょっぱい。でも、めちゃめちゃおいしい。極上の男の料理の味。それに比べたら僕の生活なんて砂糖菓子みたいなもんだ。
HP上では「五目釣り師」と名のっているわけだが、実際のところ海水・淡水、エサ・ルアー、フライを問わずあらゆる釣り方でいろんな魚を釣る。なんでも釣った魚は200種以上とか。釣った魚は、必要があれば食うし、必要がなければ、あるいは彼の美意識にかなわなければ放す。スポーツ・フィッシングとかキャッチ・アンド・リリースなんてのは彼にとってはただの空虚なお題目にすぎないのではないだろうか(ってゆーか、僕みたいにヒネた人間ではないので本当に自然体なんだけど)。
釣り以外にも、田舎暮らしを満喫している模様。庭で野菜を作り、野に山に海に繰り出し自然の恵みをいただき、仕事部屋兼遊び部屋が欲しいと思えば三坪ほどの隠れ家をチェーンソーをふるって自分で庭に作ってしまう! ちなみに引っ越し当初は奇妙なことをはじめた新住人がいるらしいと好奇の目で見られれていたものの、いまやこの小屋は近所の人々のたまり場と化しているらしい。そういうところもめちゃめちゃカッコいい。変に媚びたりしないし、臆するところがない。
会社勤めをやめ、田舎暮らしをはじめると聞いたとき、へぇ〜、ずいぶん思い切ったことをするもんだなぁ、なんて思っていたけど、HPに掲載されているお子さんの活き活きとした顔を見れば、この先輩の選択が何一つ間違ってなかったことがよーく分かる。ってゆーか、マジで妬けた。
前の会社では「なんだよ若者、バス釣りの話ばっかしてやがって」みたいな風潮があった。前述の通り、この先輩はきわめて自然体な人だし、意味もなく人を悪く思ったりするような人ではなかったけど(そもそもそーする必要性を微塵も感じていなかったんだと思う)、この人の生き様を見てれば、やれ3インチのワームだ、2ポンドのラインだ、超レアなヴィンテージ・タックルだ、とキャーキャー騒いでいた僕のような人間は相対的にアフォに見えたと思う。自分でもそう思ってた。
まぁ、ないものねだりばっかしてても仕方がない。僕は僕にできるやり方で目一杯楽しく生きていけたらなぁとつくづく思ったのでしたっ!