マティス展

昨日、雨がシトシト降る中、国立西洋美術館で開催中の「マティス展」を見てきた。この手の大型展を見るには平日の、しかも悪天候時にかぎる。というのも観覧者が少ないから。「バリエーション/プロセス」と副題にあるわけだが、見る前はいまいちピンとこなかった。でも見たらちょっとは分かった気がした。美術はけっして究極の何かを表現する完結した営みではなく、結果的には一枚のタブローに結実するとしても無数のバリエーション/プロセスをはらんでいるってことなのだろう。けっしてマティス的とはいえないノートルダムを描いた初期の風景画や、ベラスケスの「侍女たち」を想起させないでもない裸婦を描いた絵、「窓際の金魚鉢」とか「金魚鉢のある静物」とかそんな題だったはずの絵がとても印象深かった。それから中央に描かれる女性はほんとんど白く塗り残したまま、ただ輪郭のみを淡色の線で描いた作品の前でも長いことを足を止め、何度も繰り返し見た。ってゆーかホント素敵な作品がたくさんあった。