ウォルフガング・ティルマンス展

kechida2004-10-17

釣れない釣りをしていると、例えばロング・ポーズしているときなんかまぶたの裏に子供がニコニコしながらハイハイしている姿や、家人が子供にご飯をあげている姿などが浮かび上がり、なんとも申し訳ない気分になってくる(笑。
ってわけで、翌日は家族サービスも兼ねて、初台のオペラシティの美術館で写真家ウォルフガング・ティルマンスの展覧会を見てきた。日本では初めての大規模な個展だという。
昔、雑誌でJochen taking a Bath というこの作家の作品を目にしてとても感銘を受けた。それ以来、作品集を2冊買ったし、オペラシティの近くの画廊、ワコウ・ワークス・オブ・アートで小さな展覧会も見た(たしかこのときは本展にも出品されている「コンコルド・シリーズ」が展示されていたと思う)。とても気になっている作家なのだ。
ワコウでの展示や、写真集での展示風景を見て知ってはいたが、広々とした展示室に大小様々な大きさのプリントを縦横に展示するのを目の当たりにしたのは圧巻だった。個々の作品ももちろん素晴らしい。スナップ風のようでいて、一方妙に計算されているようでもある。写真家の対象を見つめるまなざしには、愛情・やさしさ・親密さを感じる一方、時には何かが欠落しているようにも感じられる奇妙なズレというか違和感を感じる。この奇妙な感覚は作家のセクシュアリティ*1が関係あるのかもしれない。
よく見ないで図録を買ったのだが、内容にはややがっかりした(2500円ほど)。チラっと見たところコンコルド・シリーズが入ってないことには気付いた。これは別にコンコルド・シリーズだけをまとめた作品集があるので納得した(高かったけどこの本も買ってしまった)。しかし、他の作品についてもすべてが掲載されているわけではないし、展示されていない作品まで含まれている。この展覧会の展示風景が含まれているわけでもないし、展覧会の記録として買ったつもりの僕にはとても中途半端なものだった。
美術手帖』で特集が組まれているし、僕は見ていないけど『ブルータス』でも記事になっているらしい。

*  *  *
観覧後、中目黒の喫茶店カフェともいう)でひと休みして、A.P.C.サープラスと家具屋をのぞいていった。この喫茶店、良く言えば古い日本家屋、悪く言えばただのボロ屋を改装した店なのだが、活気があって、華やいだ雰囲気にあふれていた(写真)。さすが人気の中目エリア!

*1:ゲイであることをカミングアウトしているし、ずばり、ゲイのパーティーや自分の恋人を被写体としている作品もある