バス蔑視

ついでといっちゃアレだが、福沢和美『日光鱒釣紳士物語』では、赤星鉄馬およびバス釣りについて以下のように言及されている。

その熊雄を連れて、ハンスは、釣り仲間の赤星鉄馬が箱根の芦ノ湖に放流したブラックバスを釣りに出かけている。北アメリカから赤星が輸入したブラックバスは、当時は神奈川県外への持ち出しが禁止されていたため、ハンスはドイツ大使館関係の別荘に滞在しながら、ルアー竿を振っていた。赤星からの勧めで出かけたブラックバス釣りだったが、ハンスは帰りの車のなかで、熊雄に「ブラックバスのルアー釣りはどうも味気ない。毛鉤で鱒を釣るほうが数段楽しく芸術的だ」と話している。*1

出典が示されていないため、信憑性に欠ける記述だと言わざるをえない。善意に解釈するなら、巻末の参考文献中のどれかに記述されているのだろう (日光市図書館所蔵の「東京アングリング・エンド・カンツリー倶楽部関係書類綴」あたりか?)。ところで、中禅寺湖でスモールマウスバスが発見されたときの騒ぎを思い出すとやや悲しくなる*2。僕自身は中禅寺湖にスモールマウスバスがいるべきだとは考えないが、鱒とフライ釣りはそんなに高級で、バスとルアー釣りはそんなに低級か?と思わないでもない。