岩手雑感 (1)

岩手といえば、柳田国男の『遠野物語』を思い出す。今回のせんちめんたる・トーホグひとり旅にもこの本を携行していき、就寝前の数十分読み返していた。これは正解で、今回の旅をさらに興味深いものにしてくれた。
ところで『遠野物語』の冒頭には奇妙な献辞が記されている (ご存じの方はどうぞ読み飛ばしてください)。

この書を外国に在る人々に呈す

というのがソレだ。この「外国にある人々」とは、海の向こうのガイジンのことではなく、日本国にいながら日本国には帰属しない人々すなわち山人*1のことを指すそうだ。そう聞くとこの献辞が持つ決定的な意味に戦慄せずにはいられない。単に牧歌的な田舎の昔話を集めてみました、というのとはワケが違ってくる。
(つづく)

*1:atokは「さんじん」を変換しなかった。やはり「外国に在る人々」ってことか。