私もチョットだけ言葉にうるさい

kechida2005-10-14

以前のエントリフライの雑誌社のwebサイトに連載中のカブラー斎藤「そいつは納得できん」の第二回目「私は言葉にうるさい」を読んで思うところを書きました。
先日、八重洲ブックセンターで釣り本を漁っていた折、フライの雑誌のバックナンバーをけっこうな冊数衝動買いしてしまいました。その中の一冊、58号56号にカブラー斎藤「私は言葉にうるさい−その2」というのが掲載されていました。web連載の方は、正直パンチ不足な気がしましたが、この58号56号の記事はとても面白かったです。特に「フライで釣る人」をなんと呼ぶかについての考察には大いに納得しました。「フライマン」「フライフィッシャー」「フライフィッシャーマン」とどれをとってもインチキで薄っぺらな感じが否めません。これは日本の戦後の歴史がインチキで薄っぺらであったからに他ならないためでしょう。だからといって「西洋毛鉤釣り師」というのはいかにも滑稽です。私は哲学科というところを卒業しましたが、「哲学」は英語だったらphilosophieという言葉を訳したものです。ラテン語だかギリシャ語にまで立ち返ればこれは「叡知を愛す」みたいな意味のようです。それを希哲学と訳し、省略されて「哲学」になったと聞いた記憶があります。昔の日本人は中国語の教養を持ち合わせていたから、このような超訳が可能だったわけです。「Fly」を「西洋毛鉤釣り」と訳すのとは大違いです。
で、私が書きたかったのはそういうことではなくてTroth's Pheasant Tailのコトなのです。「トラスズ」ではなくて「トラスス」と発音すべきだろう、というわけです。これについてはまぁそういうコトなのかなぁと思いました。私が気になったのは「 ' 」です。これは間違いです。例えば4分33秒を「4'33"」と書くことは間違いではありません。ってかこれが正しい用法。7フィート11インチを7'11"と書くのも正しい。しかし、Troth'sはTroth’sでなければなりません (便宜的に2バイト文字を使っているので本当はコレも間違ってますが)。「 ' ' 」は「‘ ’」、「 " " 」は「“ ”」でなければなりません。要するに、ただまっすぐ下にチョンとかチョンチョンとなっている記号ではなくて、オタマジャクシみたいに尻尾が付かなければならないのです。ま、私が打ったのは2バイト文字の「‘ ’」「“ ”」で、もちろん本家1バイト文字にもちゃんと尻尾が付いた記号があります。日本語のフォントに置き換えると半角カナに文字化けしてしまいますが。
追記
ところで最近、われらが文豪・井伏マスジの釣りに関する文章を集めた『井伏鱒二文集 3 (ちくま文庫)』を読みました。以前のエントリに書いたとおりマスの字は魚ヘンに尊ではありませんでした。尊の上部が八のような形です。こんな有名な人の名前すらちゃんとパソコン表記できない日本国の国語政策はどうなっているのでしょう? 
やや話はそれますが、携帯からこの日記を確認したところパソコンでは「 ' 」あるいは「 " 」としか表示されない記号が尻尾つきの記号になっています。PCと携帯ではまた違ったフォントの設計になっているようです。場当たり的というか、スタンダードがない国だなぁとつくづく思います。
さらに話はそれますが、中国語は簡体字になってしまったし、韓国語はハングルになってしまったので、日中韓の漢字を通じた結びつきは消滅しつつあるようです。繁体字というのは日本で言うところの旧字みたいなもんなんで、これは日本人にもなじみがあったようです (どのみち私にはよく分かりませんが)。