「絵画の行方」展@府中市美術館

近所の府中市美術館で「絵画の行方」展を見てきました。副題に「現代美術の美しさって何?」とありますが、現役の日本人作家6人による絵画の展覧会です。彫刻とかヴィデオとかインスタレーションはありません。名前を知っていた作家は一人だけでしたが、なかなか良い展覧会でした。
難しいことを考えるまでもなくいずれも「美しい」作品ばかりでした。須賀昭初の絵画の表面を透明なメディウムで被った大作はその表面の質感に加え、描かれたモティーフの奇妙さゆえ独特の存在感を放っていました。二木直巳の「見晴らし台」と題された一連の作品は、そのスタティックな構図からは想像できないほどもの凄い描き込まれた絵画でありいくら見ていても飽きません。小林俊介の絵は単色で画布を塗り込めただけなのですが、膠で溶いた顔料、油絵具、テンペラなどを使って塗られているそうで、信じられないくらいの奥行きが感じられます。水上央子の絵はある有機的なフォルムを色面ごとにきっちり塗り分け、そこに半透明の絵具で別のフォルムをさらに上書きしています。技法的な着想をとても上手に活かした作品でした。
所蔵品による常設展示もあいかわらず充実していてます。佐藤尉隆という作家の写真作品には大変感銘を受けました。近くにこんな充実した美術館があることはとても幸せなことです。「絵画の行方」展はあと一週間で終わってしまいますが、ホントに良い展覧会です。オススメです。