佐藤哲三展

kechida2004-10-01

夕方、東京駅のステーションギャラリーで佐藤哲三展を見た。新潟を拠点に活動した画家らしい。それに加え、わりあい若くして亡くなったこともあって、知名度が低かったのだろうか。ぜんぜん知らない画家だったが、なかなか良かった。横長の風景画が多かった。奥行きや高さではなく水平方向の広がりを強調する。幅50cm、高さが20cmもないような小品にすばらしい絵が数点あった。それよりやや大きい「夕景」という風景画があった。夕暮れ時の青黒い空に、やや禍々しい気配がしないでもない雲が浮かび、雲の一部を夕陽が赤々と染め上げる。画面の下1/4を占める大地を、右から左へとうつむき加減の人々と牛が横切る。しかし、全体から受ける印象は陰鬱なものではない。むしろホッとするというか、希望を感じる。描かれてしまった一枚の絵は、画家が背負ってきたあれこれから解き放たれ、平凡なリーマンでしかない僕が背負っているあれこれを解き放してくれ、素敵な一瞬がフッと立ち上がる。