Peninsular op.

当サイトの英題はPeninsular op.としています。これはずばり、ハードボイルド小説のダシール・ハメットのコンチネンタル探偵社の名無しのオプ=調査員をもじったものです。すなわち「大陸」を「半島」に置き換えただけです。このオプは、サム・スペイドとか…

諧謔趣味──井伏マス二*1礼賛

釣り文学者としての井伏マス二という作家がとても好きになりました。それまでは開高健的なナルシシズムに耽溺していたワケですが、一度、井伏的諧謔の世界に足を踏み入れてしまうと、その虜になってしまいます。 先日、ウォルトンの「釣魚大全 (地球人ライブ…

サイン本

同じマンションに、フライフィッシャーマンにして有名な絵本作家の先生がお住いです。別に面識があるワケでもなく、まったくの偶然です。一度だけ「○○さんですよね? お仕事はよく存じ上げてます」とエレベーターの中で一方的にあいさつしたことがあるだけで…

サイン本

最近、私は2冊のサイン本を入手しました。ひとつは湯川豊の『夜明けの森、夕暮れの谷』で、もうひとつは知来要の『森のフィッシュ・ウォッチング』です。前者は新宿の釣り具のデパートで買いました。「楽しい釣りを!/湯川豊」とサインされています。後者は…

『釣りキチ三平』における死と再生──釣りキチ同盟の射程と限界(1)

「政治」から「環境」へ──「ジョー」と「三平」に見る70年代の転換点 学生運動華やかなりし60年代「右手にジャーナル、左手にマガジン」という流行語があった。ジャーナルとは『朝日ジャーナル』を、マガジンとは『少年マガジン』を指す。現在のオタクたちの…

『Basser』の釣りキチ三平特集

『Basser』誌で釣りキチ三平特集が組まれていました。私はちょっと前に某誌に投稿しようと思ってシコシコ三平について書いていたのでしたが、これで某誌を通じては日の目を見ることがほぼなくなりました。『Basser』誌の記事と着眼点はほとんど同じでした。…

「渓流のヒラタカゲロウ」

積ん読状態だった『水生昆虫アルバム』新装版を解禁後一気に読了しました。釣り場での体験のフィードバックがないとこの本の面白さは半減する気がします。逆に言うと、入ってくることよりは出ていくことが多くなってきた私の脳味噌にとって、一度読了したこ…

『アイヌ語地名釣歩記-北海道のエコ・ツーりズムをかんがえる』

閑散とした当ブログにあって珍しく盛り上がったこの話題ですが、なぜか今日アマゾンから榊原正文『アイヌ語地名釣歩記-北海道のエコ・ツーりズムをかんがえる』という本が発売中であることを案内するDMが届きました。「赤星鉄馬の『ブラックバッス (釣り文芸…

2006年版

昭文社の「山と高原地図」の2006年版の第一弾が2月10日にリリースされました。さっそく、「奥多摩」「大菩薩嶺」「高尾・陣馬」「丹沢」の4地域を買ってきました。「金峰山・甲武信」「八ヶ岳」「北岳・甲斐駒」も買わなければ!

最新号

『フライの雑誌』の最新号が出てたのでさっそく購入。個人的には前号はイマイチでしたが、今号はとても楽しそうです。そろそろ子どもを多摩動物公園へ連れて行かねば、とワケの分からないことを考えた次第です。

屋上登攀者

藤木九三『屋上登攀者 (岩波文庫)』がメチャメチャ面白かったです。筋金入りのアルピニストでありクライマーであった著者ですが、最初の話は「山旅と峠」と題された話であり、峠が古来果たしてきた文化的な役割──すなわち、地理的に文化を分断しつつ、一方で…

とりあえずの決着

先日読んだ今西本のオチをつけるべる佐藤成史『瀬戸際の渓魚(さかな)たち』を買いました。当時バス釣りしかしていなかった私もこの連載は注目してました (チンプンカンプンでしたが)。写真がたくさんなのはいいとして、文字もたくさんで驚きました。読み通せ…

それぞれの楽しみ

『南の海からきた丹沢―プレートテクトニクスの不思議』がすごく面白いです。 しかし、丹沢山地の中に貝化石がないわけではありません。西丹沢の北側、道志川の支流である神ノ川の上流、長者舎から鐘撞山の地域一帯では、カネハラニシキというイタヤガイの仲…

地質学的スケール

私の住む部屋は西向きに開口部が多く、西日がキツいわけですが、冬の間は乱立するビルの合間をぬって、奥秩父から丹沢くらいまでの山並みを一望することができます。ウチからだと丹沢山塊のちょっと右側に富士山が見えます。丹沢山塊は距離的に一番近いこと…

ひと休み中

『南の海からきた丹沢―プレートテクトニクスの不思議 (有隣新書40)』という本がありました。メチャメチャ面白そう。というわけでさっそく注文。

今日の名言

「古人は国滅びて山河ありといったが、いまは国あっても山河の滅びゆくのを、憂うべきである。」 今西錦司「ヤマメ釣り」『イワナとヤマメ (平凡社ライブラリー)』平凡社ライブラリ、139頁

文学と毛鉤

文学と毛鉤って似ているなぁと思いました。すなわち、作者=釣り人、現実=虫、作品=毛鉤、読者=魚 (笑) というワケです。文学作品は必ずしも読者に読まれる必要はありませんが、読者に読まれない作品はその存在を知るのが作者だけなので存在しないも同然…

一歩進んで二歩下がる

年末の大掃除で処分することにした雑誌やらマンガやら130冊ほどをブックオフで売ってきました。3500円くらいにしかなりませんでした。結局、6000円くらい本を買ってしまったので、フトコロ的にはまったく意味がありませんでした。部屋の中は多少荷物が減りま…

釣魚名著シリーズ、コンプリートへの道

本日、会社帰りに家の近所の古本屋にフラリと立ち寄ったところ、以前のエントリで触れた「釣魚名著シリーズ」の数冊を見つけました。私が今日買ったのは西園寺公一の『釣り六十年』と、瀧井孝作の『釣りの楽しみ』の2冊です。こちらのサイトによると全17巻の…

今日買った本

京橋へ行く用事があったので、足を伸ばして八重洲ブックセンターに。 本を2冊買いました。まずは『奥多摩・大菩薩・高尾の谷123ルート―全踏査!ルート図収録。完全保存版』。これは沢登らーのための奥多摩の渓谷ガイドで、当然釣り人的な視点で谷を見ていませ…

カーティス・クリーク

Curtis CreekのCurtisというのは男性の名前であり、辞書を引いても出てきません。Curtis MayfieldのCurtisなわけです。ようするに「カーティスの川」=「男の子の秘密の川」というほどの意味だそうです。シェリダン・アンダーソンと田淵義雄の共著『フライフ…

彼我の差

家人はヘミングウェイが好きらしく、文庫で買える本はほとんど持っています。一方私は大学生のころ『老人と海 (新潮文庫)』だけは読みましたが、なんとなく敬遠してきました。「釣り」と「文学」が私の中ではうまく結びつかなかったからです。 最近、ようや…

虹色のトロツキー

『虹色のトロツキー (1) (中公文庫―コミック版)』という安彦良和のマンガを読んだことがあります。メチャメチャ面白いです。だってトロツキーですよ! そんなのマンガにする人いますか? 私は未読ですが『クルドの星 (上) (Legend archives―Comics)』という…

福田蘭童その後

昨晩、思いつきで書いたことを調べようと、アレコレとググっていたら、福田蘭童にはこのような著書があるようです (ってかこのサイトめちゃめちゃ面白そう)。さらに私的に驚いたことには、福田蘭童は近代日本洋画の巨匠 (棒読み) 青木繁の子どものようです (…

ついでに久々ヘル・サイヨニ

ところで最近読んだ井伏鱒二の『井伏鱒二文集 3 (ちくま文庫)』の中に「湯河原沖」という文章が収録されています。「八王子の瀧井(孝作)さん」から「湯河原の福田蘭童氏」の船に乗って釣りをしないかと誘われます。狙いはカマス。瀧井孝作も、福田蘭童も私…

鱒釣りが好きな大統領

オゼタジュニの大統領にはフライ釣り愛好家が何人かいたようです。31代のハーバート・フーヴァー、34代のドワイト・D・アイゼンハワー、そして、39代のジミー・カーター。そのジミー・カーターが退任後にFly Fisherman 誌に書いた文章を翻訳した「スプルース…

深沢七郎の『笛吹川』

深沢七郎に『笛吹川 (新潮文庫 ふ 5-2)』という本がありました。もちろん釣りの本ではないでしょうが読んでみたいです。

宝の山

うみゅ〜、コレはすごいなぁ……。欲しい本だらけ。もったいない……。

主語の不在

『フライロッドを片手に雑誌をつくった―27人が語る、『FFJ』と『フライの雑誌』をつくった編集者のこと』を読了。とても面白い本でした。一方、先日のエントリに書いた違和感の正体が分かった気がしました。 この本の題名を英語に訳するのは難しいです。なぜ…

イワナの夏/グレン・グールド

この間、八重洲ブックセンターで釣り本と山岳本を紙袋いっぱいに大人買いしてきて、今日、その中の一冊、湯川豊『イワナの夏 (ちくま文庫)』を読んでいました。「ヤマメ戦記」と題されたエッセイ集の4番目の話は「グレン・グールド」という文章でした。 「桜…